マインクラフトで英語!

聞いてしゃべれて読めて書ける最もシンプルな方法と本質的な理論がここに

B.Q.R. J-97 『最強英語脳を作る』

メガトレンドがそういう世界に向かっているというのは、もう動かしようがない。当然、人間は保守的だからそれはイヤなので、いま世界で起こっているナショナリズムの動きも、それに対する反動だと思います。

日本でも、昨年(2015年)には『英語化は愚民化』とか『英語の害毒』というような、「英語帝国主義」を批判する新書がよく売れたそうですが、それも僕は一過性のものだと思います。どんな流れにも、必ず反動は起こります。(『最強英語脳を作る』茂木健一郎 著 ーp.73)

 

  前回の記事で、今度はいわゆる伝統的な訳読式英語教育を推す保守的な教育論者とは逆の立場にいる大学教授について、次回以降取り上げてみようみたいなことを書いたんだけど、その時念頭にあったのってこの茂木健一郎じゃあなかった。

  でも、つい最近この本をたまたま手に取って斜め読みしてたら、引用したような記述が目に入ってきて、「これはちょうどいい」と思いながらよく読んでみると、ちょっとバカっぽいタイトルのわりにそこそこ地に足の着いた持論を展開してて、個人的には悪くないと思った。

  いわゆる英語(に限らず外国語)4技能を身につける方法って、とにかくいろんなアプローチがあって、一概にどのやり方がいいっていうのはなかなか言えないところがあるわけだけど、日本の英語教育って、実はその「方法」云々を論じる前に、そもそも英語を身につけること自体に「肯定的」か「否定的」かっていうところで既に見解の相違があるっていう、まあ私見によれば何やらアカデミックな事情が存在している。

  B.Q.R. J-89 『国際共通語としての英語』 - マインクラフトで英語!以降取り上げてきた一連の保守的な教育論者って、程度の差こそあれこの前提においては「否定的」な立場に立っている。だから、実はその前提部分を考慮に入れず(つまり「肯定的」っていうのはもう所与のものとして)例えば英語4技能がちゃんと身につく方法をただただ主張しても、おそらくこういった伝統的訳読式英語教育を推す保守的な教育論者たちと話しがかみ合うことってないんだろうと思う。

  ところで、これまで僕が読んできた英語関連のハウツー本は、そのほとんどがこういう前提議論をすっ飛ばして書かれている。つまり、英語を身につけることに「肯定的」っていうのはもう当たり前のものとして受け入れてて、それでじゃあどうすれば英語が身につくのか、どうすればしゃべれるようになるのかって感じに話が展開している。だから、見てきたような大学教授を中心とする保守的な教育論者からすれば、そういう書籍ってたぶん「やれやれ、分かってね~な~」ってことになるかもしれない。

  その点でこの最強英語脳を作る (ベスト新書)はちょっと違ってた。つまり、その英語を身につけることに「肯定的」か「否定的」かっていう前提部分の議論も一応踏まえた上で、かつ「肯定的」っていう立場に立って「じゃあどうやって英語を身につけるか」っていうふうに書かれてる。この点が悪くなかった。

  まあ正直言って僕は、過去記事でも書いたように、この前提部分の議論ってそれほど憂慮するほどのものじゃあないと思ってるから、別にその肯定的立場を当たり前のものとして書かれてても、それだけで評価が下がるってことにはならないんだけど、でももうちょっとこういう前提議論も踏まえた書籍が増えてもいいんじゃないかっていう気がこのところしている。

  ところで、この本って「最強英語脳を作る」っていう(なんだかヘンテコな)タイトルが付けられてるわけだけど、実はその「最強英語脳を作る」具体的な「方法」についてはあんまり書かれていない。だから、この手のいわゆる英語ハウツーを求めて読んでしまった英語初学者は、たぶん「で、結局どうすればいいの?」って感じの例の「アハ?」的体験をもって終わっちゃうことになるかもしれない(もっとも、「いいんです! 読んでるだけで、英語脳が活性化されるんです!」ってことにはならないんだけど...... )。(B.Q.R. J-98へ続く)

 

最強英語脳を作る (ベスト新書)

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