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A.Q.R. J-11 『テムズ川畔』他

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孫 家珮『テムズ川畔』F20一部

 

  1958年上海市生まれ。1984年上海交通大学美術研究室修了。1994年サロン・ドートンヌ入選。1997年国際公募連展内閣総理大臣賞受賞。

  テムズ川と言えば何か? っていう高校の地理で覚えたはずの知識はもはや川の底に沈水してしまって、まあでも余計な知識がないほうがこういう絵画鑑賞にはむしろいいのだと言い訳しながら腕組みして「はぁ、これがテムズ川」と悦に入って眺める。

  で、いい絵が観れたと思って気分よく、居酒屋で一杯やりながら何となしにテムズ川の画像をググってみると、例のビック・ベンやらロンドン橋やらなにやら見慣れた風景が目に飛び込んできて思わずポンっと手をたたいて「はぁ、これがテムズ川」って感じにろれつの回らない飲ん兵衛よろしくつぶやいて、「思えば遠くへ来たもんだ」と、これまた出所不明なセリフを独りごちて追加の酒を注文する。いや、思えば遠くへ来たもんだ。

  とまあこの人の絵を観ていると、なんだかちょっと懐古的な気分になるって言うか、なんとなくこう時間の流れのようなものを意識させられる。遠近法で描かれた川の奥に見える水は、やがてこちらへたどり着くだろう。だからその幽玄と見える最奥に、我々は既に未来を見ていることになるし、目の前に広がる緩やかな川面には、既に過去を見ていることになる......。

  ググってヒットする画像の多くは、人口800万を超す大都市ロンドンを流れるテムズ川だ。ネオン輝く近代的なテムズ川をさかのぼり、ひとたびその喧騒を離れてみれば、古びた民家がぽつんと佇むこんな「畔」にたどり着く。都会で働くハード・ワーカーが、ねぐらの壁に密かに飾ってその緩やかな流れに身を任せれば、失った時間を少しは取り戻せるのかもしれない。