読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

マインクラフトで英語!

How do we get to speak English? The simple answer is here.

B.Q.R. J-82 『ローマ字で読むな!』

『ローマ字で読むな!』船津洋 著

 

そして私に言わせれば、日本人は決してもとから英語が苦手ではない。英語が苦手にさせられているのです。その始まりが小学校の国語の授業で教わるローマ字であり、それに続く中学からの英語教育なのです。ーp.7

 

  もう半年ほど前に、B.Q.R. J-57の記事で、ローマ字って英語を身につける際大きな妨げになってる、っていうようなことを書いた。つまりそれが 「ローマ字表記」であれ「ローマ字入力」であれ、「ヘボン式」であれ「訓令式」であれなんであれ、日本人にとってこれは、英語力、とりわけリスニングとスピーキング(そして結果としてリーディングとライティング)の各学習において大きな妨げになっていると。で、その記事を書いたときは、ネットを見るとむしろローマ字を推進する向きが多くて(そのローマ字を推進する理由はその時はいまいちよくわからなかったんだけど、最近になってようやくちょっとわかってきた。それはまた次回以降書くとして)、まあ唯一キーボード入力のことを考えればこれは廃止できないか、なんてことを書いていた。

  ところが、この本を読んでみて、やっぱりローマ字教育は廃止すべきだと思ったし、もっと言えばこのローマ字って、前々回の記事で引用した "むしろ英語を使えなくなるような教育" っていうあの三木谷社長が言ってた、まさにその英語(?)教育の一つだろうと思うようになった(これも次回以降書いてみようと思うんだけど、ローマ字って偶然にも、当初の目的とは違うある種の方向性に沿う役割を果たしている面があると思う)。やっぱりローマ字教育は早急に廃止したほうがいい。

  その表立った理由はものすごく単純なんだけど、小学校3年生くらいでローマ字を習っちゃうと、英語の文字をローマ字読みしちゃって、ローマ字読みの発音が頭に残って、まずリスニングができなくなるし、リスニングができないとスピーキングもできないし、そして(結果としてそれに続くはずの)音を軸にしたリーディング、ライティングっていう学習過程も実質的には不可能になるからだ。いや、それどころじゃあない。ほとんどの日本人って、実はローマ字のおかげで、英語を読めば読むほどリスニング能力が低下して、読めば読むほど音を軸にした意味の授受が困難になる、っていう(たぶん世界的に見ても)かなり奇妙な位置に置かれちゃってるんじゃないかと思ってる。

  ちょっと一気に書いてみよう。

  音を軸にした意味の受け取りが困難である一方で、文字による意味の受け取りは、対応する日本語訳の暗記によって可能で、そうなると、英語の意味の受け取りは、日本語への置き換えで行われるようになる(それは時に抽出された文法構造の仲介による語順変換の助けを要する)。意味授受の軸は、知らぬ間に、音じゃなくて文字に置かれるようになる。すると英語の勉強は、表層的にも潜在的にもどうしても文字主体の学習になってしまう。潜在的な例をひとつ挙げると、例えばリスニングの際、聞こえてきた音を音として受け取るんじゃなくて、その音がどの文字なのか、どのスペルなのか、それを必死に探すようになっちゃう(なんでかっていうと文字にこそ意味=日本語訳がくっついてるから)。ところが残念ながら、往々にしてその音がどの文字なのかを頭の中でいくら探しても探し当てることはできない(なんでかっていうと、頭にこびりついている音はローマ字読みの音で、およそ一般的な英語の音とは似ても似つかないから)。だから大抵の日本人はリスニングができないし、したがってスピーキングもできない。そして(というかだからこそ)実質的にはリーディングもライティングもできているとは言えないし、そうはならない。仮にできるとしても、それはせいぜい英語を日本語に置き換える類の、受験英語的文字主体のリーディングのみだろう。こうした表層的にも潜在的にも(意図せず)文字主体となってしまう英語学習の例は他にもいくつか挙げられるけど、いずれもより本質的な外国語=英語学習に際してローマ字は、ある意味隠れた障壁となっているといわざるを得ない。

  ただ以前僕は、キーボード入力のことを考えると、ローマ字教育はやっぱりあったほうがいいか、って考えてたんだけど、でもこの著者曰く......

ちなみに、私自身は、日本語を入力する時はカナ入力、英文をタイプする時にはアルファベット入力をしています。カナ入力の方がキー打ちの回数が半分以下なので、スピードもありますし、日本語の音声をローマ字変換しなくてよいので、ストレスがありません。 ーp.182

 ということらしい。

  だから、以前とはちょっと考え方が変わった。僕は、動画サイトを利用して、フォニックスやIPAで発音をちゃんと身につけるんだったら、ローマ字教育をなくす必要はないかって思ってたんだけど、やっぱりローマ字の弊害って(特にリーディングの際)想像以上に際立ってくるって未だに身に染みて感じてるから、なんかやっぱりなくしちゃっていいんじゃないかと思うようになった。それだけでだいぶ英語の学習効率が上がると思う。

  ちなみに僕自身は、普段の英語学習で文字をできるだけ避けるようにしてるんだけど、これにはいくつか理由がある。1つは、英語を日本語に置き換える癖をなくすため(英語の文字に日本語訳がくっついてるから、いったん文字を避けないと、その置き換える癖が抜けない)。それから、「文字」じゃなくて「音」に意味を乗せるため(たとえ英語にくっついてる日本語訳を剝がせたとしても、こんどは「文字」に意味が乗ってしまうんじゃないかと思っている。意味を乗せたいのは「文字」じゃなくて、「音」の方なのだ。「文字」はそのあとでいい)。そして、最後にローマ字読み。ローマ字が頭に入ってるから、ある程度英語の音が頭に蓄積されないうちに文字を読んじゃうと、気づかないうちにどうしてもローマ字読みをしてしまう。ひどいと、せっかく英語の音が頭に入ってたのに、リーディングによってその音がローマ字読みの方に修正されちゃって、そうなると、読めば読むほどそのローマ字読みの音が蓄積されて、読めば読むほどリスニング能力が低下する気がしている。

  っていうわけで、僕はできるだけ英語の文字を避けるようにしてるんだけど、いや、せめてローマ字読みを習ってなければ、リーディングをもっと活用して英語学習を進められるんだけどなあ、なんてことをこのところヒシヒシと感じていて、だからせめてこれからの英語学習者には、そういう労をとらせないようなんとかするべきなんじゃないかと思っている。

 

ローマ字で読むな! (フォレスト2545新書)

ローマ字で読むな! (フォレスト2545新書)