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マインクラフトで英語!

How do we get to speak English? The simple answer is here.

B.Q.R. J-64 『本当の英語力をつける本』

『本当の英語力をつける本』マークス寿子著

 

文章に書いてあることを見ながらリスニングをしていると、分かったように思うが、実際にはそれではリスニングではなく、文章の方に集中して分かったつもりになっていることが多い。 

 

  I agree with you on this point. 僕は日本の英語教育の最大の欠点は(っていうか少なくとも自分が受けてきた英語教育の最大の欠点は)音より先に文字に意味を乗せてしまっている(あるいは、しまっていた)点にあると思ってるんだけど、それを明確に指摘してる著書や意見を見たことが今のところない。この引用みたいに間接的にある種直感的な実感のような感じで捉えられてるものはよく見かけるんだけど、結局のところそれが意味と、表象としての文字もしくは音との関係の問題っていうか、そもそもその関係性うんぬんの前に、文字を表象として選択しちゃってるってところに大きな誤りがある、っていう点を指摘して、まず音に意味を乗せるべきっていうことを言ってる人を見たことがない。

  おそらくもっとこういう英語のハウツー本の類を読み進めていけば、そのうちそういう意見にも出会えるんだろうと思うし、そもそも大学の研究論文なんかにはこういうテーマはいくらでも見られるんだろうけど、それにしてもこれほどこの表象の選択っていう問題点を明確に指摘してるものを見かけないのは、単に僕の読書量が少ないっていうだけじゃなく(既に読んだ英語のハウツー本の類はせいぜい100冊程度だ)実はつい最近まで、この「音を表象のメインとして位置付けた語学学習」が、質的・量的な意味で意外と難しかったからなんじゃないだろうかって思う(例えばYouTubeが登場したのは2005年だし、DVDとかブルーレイディスクが本格的に普及し始めたのは2000年以降だし)。とりわけここ10数年での外国語を学ぶ環境の変化はちょっと目まぐるしいものがあって、その変化があまりに加速度的に過ぎたためかどうかわかんないけど、ちょっと人間の方がまだ追いついてないっていう可能性もあるんじゃないだろうか。

  こういう場合往々にして起こりがちなのが、ハードの方が独り歩きしちゃって、かえって使いにくいっていうか、使用する用途に最適な形での改良がなされないまま、なんだか機能だけがやたらと良いみたいな、なんか頭はいいんだけど融通のきかない優等生みたいなものが出来上がっちゃうってパターンだ。むかし、某メーカーの電子書籍端末を大枚はたいて購入したことがあって、ほとんど使わないまま結局今Kindleを使ってるんだけど、この某メーカーの端末は本当に高性能(?)で、タッチペンが一体化された形で付属してて、ヘッドフォンジャックがついててボリューム調節のボタンやらなにやらいろいろ押すところがあるし、さらにSDカードとかあとなにやらよくわからないメモリーカードスロットみたいなのがついてて、まあとにかく至れり尽くせりだったんだけど、結局今はそういう機能が一切ついてないKindleを使ってるってこれほんと典型的な例だと思う。

  何が言いたいのかっていうと、たぶん大学なんかの研究機関だと、もうこの辺の表象としての音と文字とか、それと意味との関係とかってちゃんと研究が進んでるはず(いや、実際の所はどうなのかぜんぜん知らない)なんだと思うけど、これだけ表象としての音を通した語学学習が質・量ともに充実してきてて、今それが十分可能な状況にあるわけだから、もっとその辺りの研究を広く市場に流通させて、ある意味暴走気味に進化し続けちゃってる各種ハードの方向性の舵取りみたいなことができると思うんだよね(アプリの方はともかく、あの端末型の辞書なんかものすごく使いにくくなってると思うんだけど)。

  でも話はそういうハードウェア関連の話のみにとどまらない。つい最近、大修館書店が、教科書を採用した高校に英語の問題集(単語・文法練習ドリル)を無償で提供したってニュースがあったけど、その社長の会見を聞くと「在庫が余ってた」って言ってて、無償提供されたその数は約1500冊だった。で、この『単語・文法練習ドリル』ってどうやら教科書に付属してるドリルらしいんだけど、結局その付属品が1500冊も余ってたってことは、『単語・文法練習ドリル』を購入せずにこの教科書の方だけを購入した高校が少なくとも1500冊分あったってことになるんだよね(まあ、いろんな疑念はともかくとして、とりあえずこの鈴木社長の会見をそのまま受け取ったとすればそういうことになる)。

  で、ちょっと見てみた。大修館書店の教科書情報ページに行って、この『単語・文法練習ドリル』なるものを。海岸沿いの林道を、4人乗りのタンデム自転車で爽やかに走ってるイラストの上部に大きく"Compass"と書かれたこの教科書だ。その最下部に「内容見本はこちら」と書かれたPDFファイルのリンクがあるのでそれを開くと、ほんの2ページだけなんだけど、その『単語・文法練習ドリル』の中身が確認できる。

  で、どうか? 一言でいってこれは「余るよな」と思った。

  その内容については書きたいことが山ほどあるし、(仮に購入を断った高校が本当にあったとして)その購入を拒否した理由はおそらくその内容自体にあったんだと思うんだけど、僕が仮にその購入を断るとすればその最大の理由は(内容の善し悪し以前に)音声ソフトが付いてないということだ。どういうわけか、もう一つの付属品である『学習ノート』の方には音声CDが付属してるのに、こっちには付いてない。

  単語・文法っていうのは(その学習プロセスの方法によってその質が大きく変わってくるし、特に文法はその意味で受験英文法も含めていくつかタイプがあるけど)語学学習の土台だよね。その肝心かなめの土台作りが、音声によらず文字による表象のみで習得する形になってて、その土台の上に建つ家にはCDが付いているなんて本末転倒なんじゃないだろうか。仮に百歩譲って『学習ノート』のCDでその点はカバーできるとしたら、そもそもこのドリルって必要ないわけだし、それどころか、この教材を使用してまじめに勉強する高校生が居るとすれば(いや居ると思うけど)、その結果の混乱と悲惨さは(例えば音を聞いていったん文字に置き換えたり、いちいち日本語に訳したりとかね)僕自身が経験済みだから容易に想像できる。

  なんかこの記事長くなっちゃったな。実はもっと書きたいことがあるんだけど、それはまた別の機会に書こう。ただ、もう1つだけちょっと書いておきたいことがある。それは、そもそもなんで今の時代CDなんだろうか。この音声CDってもはや今となっては使いにくいし(っていうか、今の高校生ってCDプレーヤーなんて持ってないんじゃないかな?)、コストも高くつくんだろうし、なんか旺文社やなんかが市販の書籍でやってるようなダウンロード形式にすればいいんじゃないだろうか?

  だからね、話を戻すと、最先端の研究を進めてる(はずの)大学や研究機関なんかが、もっともっと情報をオープンにして共有して、例えばこういうCDなんかも全く違う形態のソフトとして、安価でしかも効果的な学習を可能にする機能を備えたものとして開発することができるはずなんだよね。なんていうか、その中身うんぬん以前に、もっと大きな方向性そのものの再検討が必要な場面がたくさんあるように思う。

  必要なのはむしろ、そういう方向性を指し示すための新しい"Compass"なんじゃないだろうか。

 

本当の英語力をつける本

本当の英語力をつける本