マインクラフトで英語!

聞いてしゃべれて読めて書ける、最もシンプルな方法と本質論。

B.Q.R. J-45 『英語で話すヒント』

私達が英語で話そうとする時も、日本語的な考え方がどうしても頭に浮かびますので、英語との構文の違いを意識して処理することが必要です。(『英語で話すヒント』小松達也著 ーp.86)

 

  英語のspeakingにおいて、文法や日本語を使うことを否定しない著者をときどき見かけるけど、この本の著者もそのうちの一人だ。つまりものすごく大雑把に言えば、文法といういわば変換装置を使って日本語を英語に変えてしゃべる、ということになる。

  だから、この著者はこうも言ってるんだけど、

 英文法の知識を実際に使うために、考えて頭の中で準備する時間がいるのです。

  

  これは当然ながらそうだよね。「意味→英語」の間に「日本語→文法」っていうプロセスが入って「意味→日本語→文法→英語」ってなるわけだからね。だから、このプロセスをできるだけ速く処理するためには訓練が必要で、ほぼそれを「自動化」というレベルまで高速処理できるようにならなければダメだってことになる。

  僕は受験英語の知識がだいぶあったので、やろうと思えばこのやり方で英語をしゃべれるようになれたのかもしれないんだけど、ある時、まあなんか直感的に「オレには無理だな」と感じたことがあった。それはspeakingの時というよりむしろlisteningの時にそう感じたんだけど、「これ、英語→文法→日本語→意味ってやってたらとてもじゃないけど聞き取れないししゃべれない」と思ったのだ(実は比較的ましだと思い込んでいたreadingでも同じようなことを思ったんだけど、それはまた別で書こう)。何を聞いていてそう思ったかというと、主にネットでごく普通の会話だとかトークショーだとか、映画、ドラマ、まあ要するに会話系の英語を聞いていてそう思ったのだ。

  もちろん、こういう会話系の英語ってのは情報伝達系の英語と違ってスラングが多いし、音の短縮だとか弱化だとか脱落、連結、同化っていうようないろんな音の変化が盛りだくさんな分聞き取りにくいってのもあるのは分かるんだけど、それとは別に、会話って結局キャッチボールなんだよね。いやキャッチボールどころじゃない、なんか体感的には卓球くらいに忙しくやり取りをしないといけない。それは、単に聞くだけじゃなくて、聞いた内容を吟味して、その上で自分の考えを瞬時にまとめてしゃべる。それもただしゃべるだけじゃなくて、相手の様子をうかがいながら、どうしゃべればいいのか、ジョークの1つも混ぜてしゃべるべきか、これは笑っちゃだめなのか、あるいは今自分のしゃべったことにどう反応したか、怒ってるのか、そんなふりをしてるだけなのか、真剣なのかそうでないのか......

  とりわけネットの普及で、今は昔と違って、よく英語の教材に付属してるCDの情報伝達系というかアナウンサー系というか、そういういわば加工された英語とは異なる生の(っていっても電子音だけど)英語を大量に聞けるようになっている。しかも映像付きで。ひょっとすると従来のような情報伝達系の教材だけしか手元になかったら「オレには無理だ」っていうようなことは思わなかったかもしれない。いや、どうだろう、わかんないけど、少なくともネットを通して生の英語に触れたことで、ちょっとこの「日本語⇔文法」というプロセスを挟むことは自分には無理だと感じたのだ。

  speakingというか英語学習全般においてこの「日本語⇔文法」のプロセスを否定しない著者の多くは「通訳者」なんだよね(あと他に記憶にあるのは大学教授と予備校講師)。一方で、このプロセスを否定していたり、避けるようにと言っている著者の多くは「ビジネスマン」だとか「スポーツ選手」だとか、あとは本を出版できるほどの日本語力を持った「ネイティブスピーカー」だったりする。だから何なのかっていうと、「通訳者」をはじめとする「日本語⇔文法」プロセスを否定しない著者は、はたして自分自身が属している英語の環境に自覚的なのか、ちょっと疑問なのだ。つまり、例えば「通訳者」が高速で行わなければならない2言語の変換プロセスって、「ビジネスマン」や「スポーツ選手」なんかには必ずしも必要ではない。基本的には、英語を聞いて理解して、英語で返せばいいだけだから。だから、英語という言語をいったん日本語という言語に置き換えなければならない、っていう「通訳者」が置かれてるかなり特殊な英語環境が、「ビジネスマン」や「スポーツ選手」なんかとだいぶ違うんだってことを踏まえたうえで、それでも英語をしゃべるプロセスとしてこの「日本語⇔文法」プロセスを否定しないというか肯定するんだろうか? そのプロセスなしに英語をしゃべり始めることができただけに、その辺りがいまいちよくわからない。

 

英語で話すヒント――通訳者が教える上達法 (岩波新書)

英語で話すヒント――通訳者が教える上達法 (岩波新書)